交通事故の後、許思梨(シュー・スーリー)は記憶を失った。 家族や友人のことはすべて覚えているのに、ただ一人――沈辞越(シェン・ツーユエ)の名前だけが、きれいに抜け落ちていた。 数日間付き添っていた親友・沈語寧(シェン・ユーニン)は、彼女が本当にその名前を思い出せないと知った瞬間、表情を一変させる。 七年前、許思梨は沈辞越に一目惚れし、七年間ひたむきに想い続けてきた。 彼女が彼を深く愛していたことは、誰もが知る事実だった。 しかし今、その想いは事故とともに消え去ってしまった。 「私、彼と付き合っていたの?」 そう尋ねる許思梨に、沈語寧は静かに告げる。 沈辞越は初恋の女性・姜以穗(ジアン・イースイ)を忘れられず、許思梨の想いに応えたことは一度もない、と。 許思梨はうなずき、沈辞越に関するすべてを携帯から消去する。 一方で沈辞越は、以前とはまるで違う彼女の態度に違和感を覚え始める。 やがて彼は気づく。 ――失って初めて、自分が彼女に心を奪われていたことに。